【危険な情事】狂気を際立たせる小道具たち
今日は番外編で映画
「危険な情事」(1987年・アメリカ)。
当時3歳だったので、 当然見ていないのですが(笑)
先日周りでちょっと話題になったので、
勉強兼ねて見てみました。
日本では、1990年代後半に、
ストーカー系のドラマが流行った記憶がありますが、
その10年前にこんなに強烈なストーカー映画があったとは。
妻子が留守の週末に
一夜限りのつもりで
他の女性と関係を持ってしまった主人公のダン。
でも、相手の女性・アレックスは遊びどころか超本気。
(ダンが妻子持ちなのは知っていたけれど)
アレックスの狂気っぷりの描き方が強烈でした。
アレックスと関係を持った後、
ダンが帰ろうとすると、
アレックスはダンのお尻を蹴り上げて罵倒。
その後に仲直りしたいと、
ダンの顔を手で包み込みますが、ダンの頬が真っ赤に。
アレックス、リストカットしてるし!!!
(いつの間に!?)
大雨が降りしきる中、
ダンは慌ててアレックスの手首に
布の切れ端を巻きつけるのでした。
そういえば、
二人が関係を持ってしまうきっかけになったのも雨。
折りたたみ傘をうまく開けず、
悪戦苦闘しているダンに
アレックスが声をかけたのでした。
そこからのアレックスの狂気がハンパじゃない。
その描き方がすごく上手。
後日、仲直りの印に、
ダンも幼い頃に行ったことがあるという
「蝶々夫人」のオペラに誘って断られると、
(ダンがアレックスの部屋に来たときにBGMで流していた)
オペラのチケットを置いた傍らのスピーカーで
「蝶々夫人」を流しながら、
呆然とした表情で、
部屋の電気をつけたり、消したりで、超不気味。
今度は電話攻撃と言わんばかりに、
職場に、自宅に電話をかけまくる。
当時はまだ携帯がなく、固定電話のみ。
ジリリリリという電話の音が不気味に響き、
その音が鳴るたびに、
ダンも視聴者もドキッとさせられます。
そして、ダンの娘・エレンが
飼いたがっていたウサギをダンが自宅に持ち帰ったあたりから、
視聴者はきっとみんなイヤな予感がしていたと思うのだけど……
空になったウサギ小屋に向かって走るエレンと、
留守宅だったはずのコンロの上で、グツグツ煮立っている大鍋。
結果を見なくても何が起きているか分かって、
そして予感が的中してしまったときの絶望といったら……
まさか本物ではないだろうけど、よくあれを映せたなという。
アレックスの狂気を象徴するには十分すぎるエピソードでした。
そしてラストの浴室シーン。
ダンの妻・ベスが浴槽にお湯を溜める様子が
妙に時間をかけて描かれているなと思ったら……
湯気で曇った鏡をベスが拭くと、
映っていたのは、包丁を握ったアレックス。
ダンは1階でベスに頼まれた紅茶を用意すべく、
お湯を沸かしていて、
2階の浴室で起きている異常に気づかない。
浴槽から溢れたお湯が天井から漏れてきて、
視聴者は「ダン、早く気づけよ!」とイライラ(笑)
そして、お湯が沸いたときのヤカンのピーッという音に、
ベスの叫び声が重なり、ダンは浴室に猛ダッシュ。
浴槽に沈められたアレックスが不気味すぎました。
しかも、あれで死んでなかったって、どんだけ不死身なの?(笑)
浴槽から立ち上がったアレックスを
ベスが握ったピストルの銃弾が撃ち抜きます。
そういえば、ダンが引き出しをそっと開けて、
ピストルを確認するシーンがさりげなく描かれていたっけ。
視聴者をハラハラドキドキさせて、
ずっと引き込み続けるプロの技に唸らされっぱなしの2時間でした。